2009年11月17日から29日にかけて、マドモアゼル・シネマはオーストリアとブルガリアにてダンス作品『不思議な場所』を上演しました。その模様を駆け足ですが報告いたします。
*** オーストリア公演 ***
劇場のオデオンシアターはウィーンの街並みを壊すことなく、由緒ある建造物を改装した荘厳な雰囲気を持つ劇場でした。吸い込まれそうなほど高い天井やコロセウムを彷彿させる円柱。第二次世界大戦中にはナチス・ドイツの親衛隊に占領されていた背景もあり、その当時の戦火の後も劇場内には残っていました。劇場としてはイレギュラーな舞台空間と客席であったため、本番までは仕込みや場当たりに時間をかけました。
現地スタッフの方々はフレンドリーでプロフェッショナル。マドモアゼルのスタッフと現地スタッフの強力なタッグのおかげで、限られた条件の中ではありましたが、絵本の中から抜け出したような空間ができあがりました。そしてそこに至るまでに大使館の堀さん、赤松さんが影で支えて下さっていたことに感謝しています。
「日・オーストリア交流年2009」の公演ということもあり、今回の公演までに先陣を切って動いて下さった在オーストリア大使の田中さんの挨拶から始まり幕はあがりました。作品時間の1時間15分は怒涛のように流れ、ウィーンのお客様に好評を得ました。カーテンコールで踏みならされた足踏みや拍手の大きさでそれを実感しました。終演後の客出しでの挨拶やレセプションパーティーを通して、オーストリアだけではなく、ポルトガル、リヒテンシュタイン、リトアニア、東南アジアや現地の日本人など、各国からお客様がいらしていることを知りました。そしてその多くの方々が、「wonderful,
beautiful, surprise」など感嘆の声を挙げられていました。これに対して皆「ダンケシェーン」としか答えられませんでしたが、『不思議な場所』は様々な国の方にも共感でき、力強いメッセージを持つ作品であると自信を持つことができました。
*** ブルガリア公演 ***
マドモアゼル・シネマがブルガリアで公演するのは4回目になります。国立映画演劇アカデミーとは長い付き合いなのですが、そこでワークショップを行いました。参加者はダンサーだけでなく、演劇を専攻する学生やモデル学校で学ぶモデルの卵も参加し、身体を通して表現したい人材が集まりました。通訳のユリアさんが言葉を訳して伝えてくれましたが、細かいニュアンスまでは言葉だけでは伝えきれません。当然、実際のエクササイズの重要となる体の部位を受講者の体を触って伝えたり、マドモアゼルのダンサーが実際に見本を見せることで伝えていきました。振付の直子さん、ダンサーみんなが一丸となってマドモアゼル・シネマの身体の使い方を教え、3時間のワークショップは終了しました。体を緩めながら伸ばしていく手法や、身体の重さを重要視する体の動かし方に、とても良いワークショップだったという声を聞き、参加者が新しい体の感覚を感じとってくれたことに成果を感じました。
公演本番までは過密スケジュールで、舞台仕込みや場当たりだけで時間いっぱいになってしまい、充分に通し稽古ができないまま本番を迎えました。けれども、そんな不安があっさり消えるくらい、“今日は楽しみにしてきました”というのがひしひしと感じられるくらい開演からすぐに大きな拍手が鳴りました。ワンシーン終わるごとに拍手が響き、笑いに溢れた前半。ぐっと集中して見入るのが感じとれた後半。ダンサーが体力の限界までステップを踏みながら床に落ちるワルツのシーンでは、まだ作品の途中であるのに嵐のように拍手が巻き起こりました。客席と舞台が一体となった公演で、カーテンコールでのスタンディングオベーション、客出しの際に求められた握手や記念撮影の要求は、この作品に共感し、楽しんでくれたことの証でしょう。帰るお客様が道がてら「今日は見に来てよかったね」と言っていたそうです。
*** そしてこれから ***
重い荷物と素晴らしい経験を抱えて、皆無事に日本に帰ってきました。 今回のツアーでは、伝統を重んじ音楽の都であるオーストリア・ウィーンと、共産主義から資本主義に変革し現在目まぐるしく変化を続けるブルガリア・ソフィアと、異なる2都市の劇場で同じ作品を踊ることができたため、その土地でしか得ることができないお客様の反応を受けとめながら舞台を動かしていく良い機会となりました。そして、安易に「見るもの」が増えた昨今、劇場から遠ざかる傾向にある日本と異なり、不況なんて何のそのと、常に現場でものを見て楽しむことを忘れていないヨーロッパスタイルを肌で感じ、観る側と作る側を含めた日本での舞台芸術・瞬間芸術の向上の必要性を感じました。
ヨーロッパツアーを行うにあたり、田中大使を始めとするオーストリア大使館の皆さま、オデオン劇場の皆さま、国立映画演劇アカデミーの教授の皆さま、通訳のユリアさん。お世話になった方々皆さまに御礼申し上げます。
本公演の舞台写真はこちらPHOTOのページをご覧下さい。 |

オデオン劇場の舞台

お世話になった大使館の方々と劇場オーナー

日本&ウィーン スタッフ協力体制

田中大使のご挨拶

ウィーン公演カーテンコール

ワークショップ風景@

ワークショップ風景A

テレビ取材も入りました

ブルガリア語で書かれたポスター

終演後の客席、熱狂でした |