Mademoiselle
C I N E M A

公演情報  ツアー報告  受賞ニュース  メディア情報
公演情報
鳥の演劇祭 参加


日時:2010年9月17日(金)12:00 /18日(土)17:00
場所:鹿野往来交流会館(鳥取県)
料金:大人1000円 中高生500円 小学生無料

◆振付・構成
 伊藤直子
◆出演
 相原美紀 竹之下たまみ 伊達麻衣子
 大島菜央 伊藤茉野 佐々木さやか

鳥の演劇祭詳細
http://www.birdtheatre.org/engekisai/



マドモアゼル・シネマ 2010旅するダンス

国内巡回ツアー(東京・岡山・福岡)

『不思議な場所』は、生まれていまここにある女性たちの物語です。

「不思議な場所です、家は。」

あなたの帰る家はどこにありますか?

【振付・構成】
 伊藤直子
【出演】
 村雲敦子 相原美紀 竹之下たまみ 伊達麻衣子
 大島菜央 伊藤茉野 佐々木さやか
【映像】
 梶村昌世

【スタッフ】
 照明:石関美穂 / 音響:上田道崇 ・ 相川貴 /
 舞台監督:関根一郎 / 衣裳:はらだまつの
 美術:くに若尾 ・ 二宮とみ / 音楽:宮内康乃 ・ PIU /
 記録映像:PLASTIC RAINS / 制作:伊藤孝

東京公演
 ◆日時
   2010年10月23日(土) 19:00 24日(日) 14:00/18:00
 ◆場所
   セッションハウス地下スタジオ
 ◆チケット
   前売2800円 当日3000円 学生2000円 小中高1500円
 ◆ご予約
   セッションハウス 03-3266-0461
   yoyaku@session-house.net
   JCDNダンスリザーブ
   http://dance.jcdn.org

●岡山公演
 ◆日時
   2010年10月27日(水) 19:00
 ◆場所
   西川アイプラザ
   http://www.h3.dion.ne.jp/~iplaza/
 ◆チケット
   前売2500円 当日3000円 学生2000円 小中高1500円
 ◆ご予約
   ぎんざやプレイガイド 086-222-3244
   JCDNダンスリザーブ
   http://dance.jcdn.org
   上之町會館 086-803-5950
   ローソンチケット(Lコード:69978) 0570-084-006
   http://l-tike.com/ 
 ◆共催
   Damda! 086-225-0874
   http://www.chige.com/damda/ 

●福岡公演
 ◆日時
   2010年10月29日(金) 19:00
 ◆場所
   ぽんプラザホール
   http://www.fpap.jp/pomp/
 ◆チケット
   前売2500円 当日3000円 学生2000円 小中高1500円
 ◆ご予約
   メガチケットアートリエ 092-281-0103
   http://www.ffac.or.jp
   JCDNダンスリザーブ
   http://dance.jcdn.org
   ローソンチケット(Lコード:82930) 0570-084-008
   http://l-tike.com/

 ◆共催
   NPO法人コデックス  080-5202-1837
   http://d-codex.com/ 


【助成】
 芸術文化振興基金
 EU・ジャパンフェスト日本委員会
【協賛】
 資生堂
【協力】
 ハニカム基金

【主催】
マドモアゼル・シネマ
162-0805 新宿区矢来町158 セッションハウス内
TEL:03-3266-0461/FAX:03-3266-0772
E-mail : m-c@session-house.net





『不思議な場所』 ヨーロッパツアー報告

 2009年11月17日から29日にかけて、マドモアゼル・シネマはオーストリアとブルガリアにてダンス作品『不思議な場所』を上演しました。その模様を駆け足ですが報告いたします。


*** オーストリア公演 ***

  劇場のオデオンシアターはウィーンの街並みを壊すことなく、由緒ある建造物を改装した荘厳な雰囲気を持つ劇場でした。吸い込まれそうなほど高い天井やコロセウムを彷彿させる円柱。第二次世界大戦中にはナチス・ドイツの親衛隊に占領されていた背景もあり、その当時の戦火の後も劇場内には残っていました。劇場としてはイレギュラーな舞台空間と客席であったため、本番までは仕込みや場当たりに時間をかけました。
 現地スタッフの方々はフレンドリーでプロフェッショナル。マドモアゼルのスタッフと現地スタッフの強力なタッグのおかげで、限られた条件の中ではありましたが、絵本の中から抜け出したような空間ができあがりました。そしてそこに至るまでに大使館の堀さん、赤松さんが影で支えて下さっていたことに感謝しています。
 「日・オーストリア交流年2009」の公演ということもあり、今回の公演までに先陣を切って動いて下さった在オーストリア大使の田中さんの挨拶から始まり幕はあがりました。作品時間の1時間15分は怒涛のように流れ、ウィーンのお客様に好評を得ました。カーテンコールで踏みならされた足踏みや拍手の大きさでそれを実感しました。終演後の客出しでの挨拶やレセプションパーティーを通して、オーストリアだけではなく、ポルトガル、リヒテンシュタイン、リトアニア、東南アジアや現地の日本人など、各国からお客様がいらしていることを知りました。そしてその多くの方々が、「wonderful, beautiful, surprise」など感嘆の声を挙げられていました。これに対して皆「ダンケシェーン」としか答えられませんでしたが、『不思議な場所』は様々な国の方にも共感でき、力強いメッセージを持つ作品であると自信を持つことができました。


*** ブルガリア公演 ***

 マドモアゼル・シネマがブルガリアで公演するのは4回目になります。国立映画演劇アカデミーとは長い付き合いなのですが、そこでワークショップを行いました。参加者はダンサーだけでなく、演劇を専攻する学生やモデル学校で学ぶモデルの卵も参加し、身体を通して表現したい人材が集まりました。通訳のユリアさんが言葉を訳して伝えてくれましたが、細かいニュアンスまでは言葉だけでは伝えきれません。当然、実際のエクササイズの重要となる体の部位を受講者の体を触って伝えたり、マドモアゼルのダンサーが実際に見本を見せることで伝えていきました。振付の直子さん、ダンサーみんなが一丸となってマドモアゼル・シネマの身体の使い方を教え、3時間のワークショップは終了しました。体を緩めながら伸ばしていく手法や、身体の重さを重要視する体の動かし方に、とても良いワークショップだったという声を聞き、参加者が新しい体の感覚を感じとってくれたことに成果を感じました。
 公演本番までは過密スケジュールで、舞台仕込みや場当たりだけで時間いっぱいになってしまい、充分に通し稽古ができないまま本番を迎えました。けれども、そんな不安があっさり消えるくらい、“今日は楽しみにしてきました”というのがひしひしと感じられるくらい開演からすぐに大きな拍手が鳴りました。ワンシーン終わるごとに拍手が響き、笑いに溢れた前半。ぐっと集中して見入るのが感じとれた後半。ダンサーが体力の限界までステップを踏みながら床に落ちるワルツのシーンでは、まだ作品の途中であるのに嵐のように拍手が巻き起こりました。客席と舞台が一体となった公演で、カーテンコールでのスタンディングオベーション、客出しの際に求められた握手や記念撮影の要求は、この作品に共感し、楽しんでくれたことの証でしょう。帰るお客様が道がてら「今日は見に来てよかったね」と言っていたそうです。


*** そしてこれから ***

 重い荷物と素晴らしい経験を抱えて、皆無事に日本に帰ってきました。 今回のツアーでは、伝統を重んじ音楽の都であるオーストリア・ウィーンと、共産主義から資本主義に変革し現在目まぐるしく変化を続けるブルガリア・ソフィア
と、異なる2都市の劇場で同じ作品を踊ることができたため、その土地でしか得ることができないお客様の反応を受けとめながら舞台を動かしていく良い機会となりました。そして、安易に「見るもの」が増えた昨今、劇場から遠ざかる傾向にある日本と異なり、不況なんて何のそのと、常に現場でものを見て楽しむことを忘れていないヨーロッパスタイルを肌で感じ、観る側と作る側を含めた日本での舞台芸術・瞬間芸術の向上の必要性を感じました。
 
 
ヨーロッパツアーを行うにあたり、田中大使を始めとするオーストリア大使館の皆さま、オデオン劇場の皆さま、国立映画演劇アカデミーの教授の皆さま、通訳のユリアさん。お世話になった方々皆さまに御礼申し上げます。


本公演の舞台写真はこちらPHOTOのページをご覧下さい。

オデオン劇場の舞台

お世話になった大使館の方々と劇場オーナー

日本&ウィーン スタッフ協力体制

田中大使のご挨拶

ウィーン公演カーテンコール

ワークショップ風景@

ワークショップ風景A

テレビ取材も入りました

ブルガリア語で書かれたポスター

終演後の客席、熱狂でした

受賞ニュース!


重大ニュースです。
2008年10月に公演した「不思議な場所」が第63回文化庁芸術祭新人賞を受賞しました。2006年より各地を旅し、その度に再考しながら地域に合わせて作品づくりを進めてきました。各地で共感してくださったお客様や、いつもセッションハウスで応援してくださるお客様の力強い声援が、私たちの背中を押してくださったと感じております。「不思議な場所」は2009年にはさらなる旅を目指して進化します。皆様の期待を上回るように、また受賞の喜びと責任を受け止めながら創作活動を続けていきたいと思いますので、今後とも変わらぬご愛好をお願い申し上げます。
メディア情報

『いい子 わるい子 子守唄』の情報が朝日新聞に掲載されました。

◆朝日新聞(2010/7/12)
「おなか」に注目、現代女性を描く
女性ダンス集団、ベリーダンサーと共演
 女性だけのコンテンポラリーダンス集団「マドモアゼル・シネマ」が31日と8月1日。東京・神楽坂のセッションハウスで「いい子 わるい子 子守唄」を上演する。3年ぶりの新作だ。ニューヨーク在住のベリーダンサー、椎名葉を迎え、「女性のおなか」をテーマに、現代の様々な女性像を視覚化する。
 レギュラーメンバーとオーディションで選らんだ計12人によるコンテンポラリー・ダンス、椎名のベリーダンスの共演だ。
 主宰で振付・演出の伊藤直子は、中東の女性たちによって踊り継がれるベリーダンスが、暮らしに根ざしていることに着想を得た。男性を魅了する、子供を宿す腹の役割に注目した。
 「苦しい記憶も楽しかった記憶も、女性たちの心の深層で世代を超えて受け継がれる。女性たちは、そうした歴史も紡いでいる」と伊藤。現代の作曲家による子守唄が流れ、「胎内のイメージ」という海の映像が映し出される。
 マドモアゼル・シネマは1993年、セッションハウスを拠点に伊藤が設立した。ダンスの中にせりふや歌など、演劇的要素を織り混ぜる。国内外で公演を重ね、「不思議な場所」(08年)で文化庁芸術祭新人賞を受賞した。
寺下真理加

『記憶の住人』の批評が以下のメディアに掲載されました。

◆公明新聞(2010/4/16)
 野和田恵里花をしのび
        仲間のダンサーが共演
 
 神楽坂の地下小劇場セッションハウスで<<マドモアゼル・シネマ2010旅するダンス>>の『記憶の住人』を見た。これは07年5月11日に癌のために舞踊人生の盛りを断ち切られた野和田恵里花のことを、彼女を愛した者たちがいっしょになって思い出そうという公演だった。
 野和田は南米育ち。セッションハウスをホーム・シアターとする伊藤直子主宰の<<マドモアゼル・シネマ>>の中心メンバーとなり、国内ばかりか、海外でも注目されるようになった。また、人気ダンス・グループ<<コンドルズ>>の主宰者、近藤良平と踊った『小さな恋のメロディ』は、今の時代を生きる女の子の姿を等身大で見せたもので、その愛らしい表現は、とげとげしさばかりを目立たせがちなコンテンポラリー系統のものとしては異色だった。
 『記憶の住人』は、かつて野和田がマドモアゼル・シネマの舞台で見せたさまざまな楽しい場面が織りこまれていた。彼女といっしょに踊った仲間のダンサーたちが元の振付を踊り、そこに映像の中の野和田の姿が重なった(伊藤直子の振付・構成)。近藤良平は『小さな恋のメロディ』の中のやりとりを再現して観客の涙を誘った。
 コンテンポラリー・ダンスの分野には、次々と新しい舞踊家が登場してくる。表面的なアイデア勝負だけで打って出る者は、たちまちのうちに過去の人となってしまう世界だ。しかしマドモアゼル・シネマの『記憶の住人』の中で、野和田恵里花の人間味豊かなダンスは今なお輝きを失っていなかった。春浅き地下の小劇場には、彼女のことをいつまでも忘れたくない観客の拍手がこだましていた。
舞踊評論家 山野 博大


 セッションハウスの活動とマドモアゼル・シネマの活動がバレリーナへの道77号(発行:文園社)に掲載されました。

◆バレリーナへの道(77号)
 マドモアゼル・シネマと旅するダンス

カンパニーのマドモアゼル・シネマのメンバーは現在7名。
メンバーの伊達麻衣子さんは、関係性を大事にしていグループと説明する。「1人で踊るのではなく、ずっと隣に人がいて、それでできる自分というのを大切にしています」とのこと。公演活動を「旅するダンス」と命名し、見知らぬ土地でダンスをする意味も込められ、近年海外公演活動も盛んだ。
 10年選手になるメンバーの相原美紀さんは海外の公演について「コンテンポラリーなのに日本の伝統舞踊と紹介され、重心が低い動きや、1人で何かをするのではないことを目指しているので、そんなところに東洋的なものが感じられるのかな」と分析する。
 また、メンバーはスタッフとして舞台監督、照明、制作、受付にもかかわっている。伊藤さんは「ダンサーがスタッフを兼ねていては・・・とよく言われますが大丈夫」と断言する。
 一緒に背負って初めて分かり合えるものがある。その本領を発揮するのが海外公演は地方公演。劇場入りした時、先方のスタッフと意気投合し、一緒にやるんだという意識が目覚め、いっきに盛り上がる。
取材 : 松山 悦子


 『“私”の音と、“わたし”の風景』のインタビュー記事が「演劇ぶっく」2009年2月号(発行:デジタルハリウッド株式会社)に掲載されました。

◆演劇ぶっく(2009年2月号)
    ダンスカンパニー“マドモアゼル・シネマ”と音楽グループ“つむぎね”によるコラボレーション公演『“私音と、“わたし”の風景』。音楽、映像、ダンスのダイナミックなセッションが、そこにある全ての命を鼓舞するかのように、動き、跳ね、そして舞う。女性ならではの柔らかさと男性さながらの力強さを従えたしなやかな身体は、ただひたすらに美しかった。
 演劇ぶっく 園田 喬

 『不思議な場所』の批評が以下のメディアに掲載されました。


◆週刊オン★ステージ新聞(2008/11/14)

奇妙な浮遊感が伴う表現

 伊藤直子が率いる女性だけのカンパニー、マドモアゼル・シネマの『不思議な場所』は2006年初演。昨年は東京のほか岩国と松本でも上演され、今年はルーマニアのシビウ国際演劇祭に招聘された。今回の凱旋公演を経て、来年はブルガリアのソフィアとオーストリアのウィーンでも上演するとのこと。みずからの活動を"旅するダンス"と銘打つ団体に似つかわしい作品である。
 言うまでもなく、"旅するダンス"とは、単にツアーに出るという意味ではない。ダンスシアターの手法をとるこの団体にとって、"旅"とはまず内面への旅、記憶を探る旅である。それは失われたものへの追憶であり、そのための表現には奇妙な浮遊感が伴う。国際結婚してドイツに渡った
女性の話など、いくつかエピソードはあるが、ディテールは追及されない。回転木馬の映像や、フランス語の流行歌など、映像も音楽も、個別の記憶を喚起すると言うより、ノスタルジーを感じさせる記号の役割を果たすものが選ばれている。誰の記憶でもありえ、そして誰の記憶でもない。現実との連絡は、一度断ち切られている。そこに、住む土地から切り離される旅との共通項がある。
 現実は、ここでは括弧に入れられている。前半の、お尻を大きく膨らませた衣装が端的に示すように、作品空間は"ワタシがカワイクいられる場所"として人工的に構成されたものだ。そこに男性がいる必要がなく、実年齢も忘却される。"不思議な場所"である"家"とは、ワタシが決して否定されない究極の癒しの場にほかならない。
 カワイサの横溢したこの作品は、無条件で守られる場所への退却なのだろうか。あるいはむしろ、過酷な現実を嫌と言うほど見据えたからこそ、それが記憶に沈澱したときに美しく輝くのかもしれない。いろいろな意味で、現代日本の女性のありようを映した作品である。
 
舞踊評論家 門 行人

◆公明新聞(2008/11/18)
子供のエネルギーを彷彿とさせる躍動感

 ルーマニアのシビウ国際演劇祭に招聘されたこの作品は、振付家・伊藤直子が数年がかりで取り組み、多くの試行錯誤や試練(この作品でもカンパニーでも中心的な存在だった野和田恵里花の夭折)を乗り越え、この最終編となった。国内外での公演を重ねて、ダンサーにも自信と余裕が生まれ、マドモアゼル・シネマの次のページを開く作品に仕上がった。
 「不思議な場所」としての家をテーマとするこの作品では、家という場に集積された記憶の数々が断片的にたどられる。郷愁や回想を喚起する静的なイメージに、海外の風景や街並みなど現実的で動的な要素の映像(梶村昌世)が加わり、空間や質感に広がりと奥行きが生まれた。コンクリートの壁や小さな旅行鞄などに映し出された映像は、観客の至近距離で踊るダンサーの身体をより生き生きと見せ、コントラストのある演出で空間をより立体的に見せていた。
  異質な存在の村雲敦子がシーン展開の要に位置し、6人のダンサーがそれぞれのシーンを様々な色合いに織り込んでいく。窪田玲のむっくりとした存在感のある動きや、伊達麻衣子のキッチュでおどけた動きは印象に残った。
 腰部が膨らんでいて、ダンサーが人間の子供か子熊のようにデフォルメされて見える白い衣装(原田松野)により、小さな動きにはユーモラスな雰囲気が加わり、躍動感のある動きは、あり余るエネルギーを発散する子供時代を思わせた。
 この作品では記憶の中の心象風景、ことに詩的な幸福感が表現される。その裏側にある負の存在をも見たいように思えたが、現実的な問題に日々直面させられる日常があるからこそ、幸福な記憶の玉手箱をあける必要があるのだろう。
舞踊評論家 西田留美可


「不思議な場所」に関する情報掲載が以下のメディアで取り上げられました。


◆公明新聞(2008/10/10)
「家」をめぐる姉妹の物語を
女性の親しみやすい表現で


 激動し続ける世界、人と人のつながりもぎくしゃくするばかり。その中にあって人々の拠り所となる一方で、人間関係の種々相が集約的に見えてくるのは「家」であり、「家族」とも言えるだろう。東京・神楽坂の小劇場セッションハウスで間もなく行われるマドモアゼル・シネマのダンス公演『不思議な場所』はマルグリット・デュラスの「不思議な場所です、家は」をキーワードに、幼い時はともに家で過ごしたが今は遠く離れ離れになってしまった7人の姉妹達のダンス物語である。
 この舞踊団はダンス・シアターの手法で、振付・演出担当の伊藤直子の下、一人ひとりのダンサーの身体が内包する記憶を基に編み出した断片的なシーンで作品を構築し、数多く
の作品を生み出してきた。『不思議な場所』はベルリン在住の映像作家・梶村昌世との共同作業で、記憶の世界とリアルタイムのいまを交錯させながら立体絵本のように綴っていくことに力点を置いた作品だ。
 この作品は2006年の初演以来、07年には国内巡回公演(岩国、東京、松本)、今年6月にはルーマニアのシビウ国際演劇祭に招かれ上演を重ねてきた。ダンス作品は生き物、場所を変え繰り返し上演することで新たな要素が加わり、成長していくものだ。不安に満ちた世界の現在を切り取る強い表現も大切だが、この舞踊団の「家」「家族」をテーマにした女性ばかりの親しみやすい表現が、文化も国情も異なる国での公演でも驚きと共感を持って受け入れられたことは、境界線を越え作品に普遍性を付与していく大きな契機となったように思われる。今回の公演はルーマニアでの体験を経て姿を変えた作品を日本の観客に改めて提示してく公演となるだろう。
セッションハウス・プロデューサー 伊藤孝


◆「DDD」vol.26 2008年11月号


女性だけのダンスカンパニー マドモアゼル・シネマが織りなす
絵本のようなダンスシアター

 東京・神楽坂にある"ダンスのための小劇場"セッションハウス。マドモアゼル・シネマはそのレジデンス・カンパニーとして、伊藤直子により1993年に創設された。10月に上演予定の『不思議な場所』は2006年初演、今年6月にはルーマニアのシビウ国際演劇祭に出品した、彼女たちの代表的な作品だ。女性だけで構成されたカンパニーが掲げる本作のテーマは"家"と"家族"。振付・演出を手掛ける伊藤はマルグリット・デュラスの"不思議な場所です、家は"という言葉からインスピレーションを得たという。初演から時を経てさまざまな劇場を旅してきた作品を拠点であるセッションハウスに戻し、いま再び濃密なダンスシアターをつくりあげる。